雀會のお囃子

本郷流

本郷流

 川越市の東部に位置する古谷本郷に、埼玉県でも古社のひとつに入る古尾谷八幡神社があります。由に多くの祭事があり、お囃子も新町流といわれる古囃子が伝承されていました。

太鼓 明治に入ると他村では次々と江戸から神楽師を呼んで地囃子を新しい囃子に変えてゆきましたが、古谷本郷囃子連もまたその気運に乗るべく、上尾堤崎から習ったり、江戸へ出て江戸囃子を研究したりしました。
特に影響を受けたのが目黒囃子で「玉入れ」を他の曲にまで広げるという独特の技法を地囃子の屋台に取り入れました。
出来あがった囃子は数多くの曲(オトシ)でつながれ、それぞれの曲にカラミ(打ち合わせ)が多く、近村の大部分の囃子が中間、或いは大間であるのに対し、江戸前の早間であった為に大変高度の技術が必要とされました。

太鼓 しかし、当時の杉山三ニ氏、渡辺儀助氏をはじめとする囃子連中により、見事なる本郷流囃子として花開く事となりました。
両氏の秘伝は連雀町雀會に伝授され、本郷一流として末永く伝承して行く事になりましたが、連雀町が太田道灌の山車であるところから、「オトシ」の移り変わりが太田道灌の川越築城を連想させ、道灌囃子と呼ぶ人もあります。

関連ページ:古谷本郷千手会囃子連の歴史

 一般的には、縦【たて】脇【わき】と表現される小太鼓の位置も本郷流では上【かみ】下【しも】と呼んでいます。また一般的に太鼓の音を上は高く、下は低く調律しますが本郷流では逆のようです。

太鼓

山車上で奏でられる雀会の囃子

人波【にんば】

本郷流では「テケ天ツクテケツク天ツクツ」の八拍子が繰り返されます。時折下【しも】の太鼓が違うリズムを刻みカラミます。主にモドキ・おかめが舞う時に演奏されます。

屋台【やたい】

呼出、打込、ブチアゲが前奏で、地(ジ)と、オーヒューヒャ、ミツビシギリ、チヒャライト、大オトシ、中オトシ、小オトシ、の七つの独立した曲(オトシ)から構成される。各オトシは地によって繋がれているので、いずれのところからも他の曲を挿入して演奏する事が出来ます。狐の舞に使用されます。

矢車団七【ヤグルマダンシチ】

屋台に挿入して演奏します。屋台の中のオトシとは一線を隔します。短い曲ですが上【かみ】下【しも】の小太鼓のカラミは勢いがあります。

投げ合い【なげあい】

四丁目【しちょうめ】と呼ばれる場合もあります。「天テレツクツク天スケ天」というリズムで勢いのある曲です。時折「変え手」という違うリズムを挿入します。モドキのチカラ舞い、獅子舞等に併せて演奏されます。神輿の伴奏としても演奏されます。

鎌倉【かまくら】

ゆっくりとした曲で静寂さや夜の情景を表現します。

子守唄 【こもりうた】

「ねんねんころりよ」の子守唄です。獅子や狐が寝ている演技をしている時、オカメが子供を寝かしつける演技をする時などに演奏されます。

数え唄【かぞえうた】

この唄をご存知の方もあるかと思いますが「ひとつとせ~」で始まるあの数え唄です。

雀会の舞
雀会の舞

 雀會の舞は、山車創建当初に山車に乗っていた指扇(さいたま市西区)の舞師に教えを受けていましたが、程なく小仙波町の囃子連の紹介を受け砂新田の梅澤庄太郎氏に師事するようになり、岡目・ひょっとこ・狐の舞を習いました。
梅澤師匠は元は神楽師でったそうですが、川越まつりは山車の上という狭いスペースで踊るため、舞を山車用にアレンジして教えてくれたそうです。また、舞に物語をもたせてお客様を飽きさせないように努力されました。

 その後も熱心な会員たちはより高い技術を求めて色々な囃子を訪ね、江戸里神楽の千葉史郎氏と出会います。
千葉師匠には、本格的な「里神楽」を習いました。
モドキ・岡目・天狐はもちろん、獅子から立ち役まで里神楽を通して様々な舞を学びました。
また、里神楽を学んだ事で囃子の音に合わせて舞を変化させたり、逆に舞のきっかけで囃子が音を変えたりと、
舞と囃子の競演の大切さを知ることとなります。

 現在、雀會ではこうした経緯をへて、山車の踊り、神楽殿での広いスペースを生かした舞、獅子舞、またはこの全てを融合させて作った創作神楽など幅広い芸風で皆様に楽しんでいただけるよう努力しております。

キツネ
オカメ
大黒
カエル
小ダルマ
ヒョットコ

山車上で演じられる雀会の舞 

狐・天狐 【きつね・てんこ】
狐は古くから稲荷神の使いとされており、雀會では狐の舞を五穀豊穣の舞として演じております。短い幣束を2本持ち、田植え~稲刈り~脱穀までの様子を表現しております。稲刈りが終わって稲の一部を神様に捧げるなど神の使いとして人々に田植えの方法を伝授している様を伝えています。
天狐とは、狐が1000年生きるとなるとされ神獣の一つです。あくまでも獣であり神ではないので雀會では狐も天狐も同じ扱いをしております。強いて言うなら裁着袴をはいているのが狐、切り袴が天狐と呼んでおります。

モドキ 【擬】
日本の芸能において、主役を揶揄したり模倣したりと滑稽を演じる役(道化師)をモドキと呼びます。
雀會の舞では、ひょっとこやダルマ面、笑い面などを総じてモドキと呼んでおります。
舞い手により表現は様々で、釣り・山登り・独楽回し・餅つきなど日常の仕草をストーリーをまじえて滑稽に演じております。また、このストーリーの合間に「手踊り」といわれる舞を演じます。華麗な手踊りと滑稽な仕草で観客を沸かせるのがモドキの真骨頂でしょう。

おかめ
里神楽などで道化役の女性として使われる面です。
モドキと同じく日常の仕草を演じますが、化粧をしたり羽根つきをしたりと女性らしい演技をします。
雀會では、おかめに小さな獅子を持たせて「手追い獅子」という演目を披露する事もあります。